3月13日島内勉強会

 当会は、3月13日午後8時から約2時間にわたって、リゾート開発に賛成するか反対するかを問わず、広く島民・観光客の参加を呼びかけ、勉強会を開催しました。
 当会の資料に基づいた発表を行った後、合計36名の方が、島民・観光客の視点から、リゾート開発と住民投票の実施について意見を述べ合い、有益な議論がなされました。
 なお、当日は、別途、弁護士の先生に、「リゾート開発について現在判明している法的問題点」を御説明いただき、質疑応答にもご参加いただきました。
 ここで行われた議論を踏まえ、当会は、近日中に明確な形で意見表明をさせていただきます。

 

 以下に、勉強会で配付した当会作成の勉強会資料を掲載いたします(誤記ややや軽率な表現を修正しています)。是非、当会のHPにおける今後の議論の資としていただけますと幸いです。

 

勉強会資料

1 リゾート計画について
 (1) 竹富島憲章に違反していること、「竹富島方式」がまやかしであること
 星野氏の説明によれば、株式会社竹富土地保有機構と南星観光株式会社の株式は、100%星野リゾートが保有しているとのことです。
 これは、両者ともに、星野リゾート自体であるのとほとんど意味が同じです。「竹富島方式」というのは、星野リゾートを「頭」とすると、「右手」で土地を、「左手」で建物をもってリゾート施設を運営するという意味です。つまり、「竹富島方式」だから土地が売られないなどというのは、全くのまやかしにすぎません。
 また、これは、明白に竹富島憲章に違反しています。これを認めるのであれば、竹富島憲章を破棄してから行わなければなりません(2へ)。
 (2) 財団法人化の実現可能性について
  【星野氏の説明】
 ・ 約束できるのは、竹富土地保有機構の借金を返し終わった後に、財団法人か公民館の所有かにすること。
 ・ 竹富土地保有機構の借金は12億円(若干不明確だが、根抵当権価格が9億、土地購入資金が3億との説明か?)。國場組から回収した金銭はない。
 ・ 宿泊棟は、約50棟、1棟あたり単価約5万円である。
 ・ 財団法人化の実施時期は、12~3年後という計画である。
 ・ 竹富土地保有機構を財団法人とするか、公民館の所有とするか等は、公民館の議論に委ねる。
 ・ 財団法人とする、公民館とする際に、対価が発生するのかは未確認(対価をとる可能性もある)。
 ・ (注意)若干説明が明確でないが、リゾート施設の敷地については、財団法人化しないということのようである(つまり、ずっと竹富島憲章に違反する状態が続くことになる可能性がある)。
  【検討】
 私たちは、この実現可能性とこれを実現するための島の将来の制約による影響を十分に検証する必要があります。
① 財団法人化の実現可能性(星野リゾートに対して説明を求めていましたが回答を拒否されましたので、あくまで星野リゾートの説明に基づく当会の試算です。)
 利益を全額借入金の返済に回すという仮定をとる場合、年間返済額約1億円とすると、
  ・ 稼働率が80%で、売上げが7億3000万円 → 利益率13.7%の達成が必要。
  ・ 稼働率が70%で、売上げが6億3875万円 → 利益率15.6%の達成が必要。
  ・ 稼働率が60%で、売上げが5億4750万円 → 利益率18.3%の達成が必要。
 今回、土地の上の建物は、南星観光が建設、保有することとなるようですが、その建設資金は堅く見ても15億円以上であり、この借入金の返済資金をも別途捻出する必要があります。
 星野リゾート星野社長は、この方法は「もっとも安全な方法」と説明していますが、いくら優秀な星野氏といえども到底達成できる数値とは思えません。
② 竹富島への影響
 星野リゾートが完全な自由な経営環境で行ったとしても、上記の利益率の達成は、極めて厳しい数字です。
 これを竹富島の窮屈なルールの中では、到底実現できないでしょうか。
 したがって、竹富島としては、星野リゾートに何らかの財政的援助を求めることもできそうにないし、行事、祭事等について経営を犠牲にするような協力を得ることも期待できない可能性が高いといえます。そればかりか、島として、これまでのルールを変えて、星野リゾートの利益となるような形に運営せざるをえなくなるのではないでしょうか。

2 島の将来に対する影響について
 (1) 竹富島憲章を破棄するとどうなるか?
  竹富島憲章は、外部資本による土地の取得や開発を排除することで、外部資本の乱開発を防ぐとともに、島内で上がった利益を島内に環流させて、島の伝統、民俗文化、町並み、自然そして私たち自身の生活を守るものです。竹富島憲章は第6項に本質があります。これがあるからこそ、「日本の竹富島」「世界の竹富島」であり続けることができました。
  これを破棄した場合、以下の(2)、(3)の事態が生じ、竹富島憲章がおそれていた、「私たちの生活」はどこにもない、また、どこにでもある、一つの離島に成り下がるでしょう。
 (2) 民主的な島から独裁的な島になる(自治組織が崩壊する)
 星野氏は、竹富公民館の自主性を尊重するといいながら、「住民投票は実施することには問題がある」という発言を繰り返しています。このような発言をすること自体不適切ですが、星野氏は、「住民投票を実施することは星野リゾートの利益にならないから」この発言をしていることと考えられます。既に星野氏の影響力は甚大であって、現状、この発言のまま事実が推移しています。
 このように、「星野リゾートの利益が最優先」という観点で、島を運営されたらどうなるでしょうか?これまでの拮抗したバランスの上に成り立っていた民主主義はくずれ、もはや、公民館組織などというのは名ばかりで一人の実力者が突出した「星野島」になってしまわないでしょうか?
 (3) 星野リゾートへ経済的に依存する島となる。
 星野リゾートの年間売上げは、上記のように少なくとも6~7億円にのぼると思われます。一方、現在の島内のすべての観光業者の売上高は、この金額に達するでしょうか?島のすべての事業者の経済力をもってしても太刀打ちできない事業者が島内に現れることになります。
 一方で、民宿等の一般の事業者は強力な競争相手が生じることになり、また、「島のよさ」が失われたという多くの観光客の足が遠のき、これまでの顧客はどんどん減少していくことになります。当然、私たちの収入は減少します。
 そうすると、経済的にも、これまで島民自らが維持してきた島が、星野リゾートの経済力に完全に依存する島とならないでしょうか。
 (4) 星野氏に島を任せられるか?
 島内では、「星野氏は人柄がよく信頼できる」からリゾート開発に賛成すべきとの説得活動がなされているようです。「人柄がいい」「経営者として優秀」ということは否定しませんが、それと、「将来の島のためになる」というのは全然違うレベルの話であり、そのような安易な理由でこの問題を見るべきでありません。
 もっとも、上記のような宣伝がなされており、それが一部で効を奏している可能性があるという現実があることに鑑みて以下の各点を指摘いたします。以下の星野氏の本問題への対応から窺える星野氏の姿勢をよく見極める必要があります。
 ① 竹富公民館の自主性を尊重するといいながら、「住民投票を実施することには問題がある」という発言を繰り返しています。これは、「住民投票を実施すると星野リゾートの利益にならないから」であると考えられます。既に星野氏の影響力は甚大であって、このとおりに事実が推移しています。
 このように、「星野リゾートの利益が最優先」という観点で、島を運営されたらどうなるのか?祭事も、伝統、民俗文化、町並み保存は、「星野リゾートの利益になる範囲で」行われることになりませんか?
 ② これまでの過程の中で、ちゃんと住民に向き合ってくれたのか?
   ・ 資金投入を意味する抵当権抹消の翌日に住民全体と話し合うことなく開発のための樹木の伐採手続に着手。
   ・ 1回目の説明会 ⇒ マスコミに報道された直後。
   ・ 2回目の説明会 ⇒ 開発許可のために絶対に必要なため。
   ・ 3回目の説明会 ⇒ 町長から住民に説明しろと言われたため。
   ・ 4回目の説明会(うつぐみ教室) ⇒ 竹富島憲章を生かす会が立ちあがった直後。
   つまり、すべての説明会はそれ開催する必要に迫られてのことと考えられます。全国を飛び回る星野氏が竹富島に今後どれほど来ていただけるのか、しっかり認識しておく必要があるでしょう。
 ③ 3月5日・6日に、星野氏は「法的手続きはすべて終わっている」と何度も発言していますが、これは事実でありません(建築確認も完了していないと思われ、また、町との協議も全く未了である)。建築確認がおりていないということは、よく分かっているはずです。
 ④ 星野氏は、当会が今回のリゾート計画を正確に把握しようとして作成した質問状に全く回答しないばかりか、当会HPに記載の事実の多く十分な客観的資料を基にしているにもかかわらず、3月5日及び6日に、あたかもそれがほとんど嘘であるかのような発言を行っています。今後、当会のように、住民の一部が、星野氏に敵視されたらどうなるのか。事実まで嘘と決めつけられてしまうことになるのではないでしょうか?

3 いわゆる「代替案」について
 ・ 本当は代替案などいりません。単に、リゾート賛成、反対といえばいいことが、議論がすり替えられています。
 ・ ただ、皆が、星野リゾート以外の会社に売られるのが困るということであれば、実現可能な代替案は存在しますし、その実現のためにこそ一致協力すべきです。
                                  以 上 

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